【コラム】「崖っぷち」からの脱出策、隔離から検査へ切り替えを

  • 2020年11月13日(金)
(※Photo by Jamie Fenn on Unsplash

 トラベルビジョン前編集長が「世界の観光産業の今」をテーマに不定期で寄稿するこのコラムですが、本題の前にひとつだけ。今週はKNT-CTホールディングスの大規模なリストラ計画が発表され、影響を受けられる方々に幸多からんことを祈るばかりです。ただ、一報を聞いて最初に思い出したのは、2011年9月に当時のJATA金井会長が旅行業は「崖っぷち」に立っていると発言されたことでした。そこから9年、今回の決断はコロナがきっかけとはいえ、それがなければただ順風満帆、明るい未来が待っていたかというとそんなはずはないでしょう。

 前回の当欄は「危機を無駄にするな」というタイトルで、コロナ禍を嘆くのでなく今しかできないことをすべし、という意見を紹介しましたが、KNT-CTの判断もその一つと言って良いのではないかと思います。

検査による14日間隔離の廃止・短縮が必須

 さて、前回の最後に予告した「危機を好機にする具体論」ですが、これは申し訳ありませんが撤回します。KNT-CTのような構造改革や人員整理、ビジネスモデルの見直しなど例がないわけではないもののまだ少なく、読んで面白いものはまだ書ける段階にないため、今回は危機を乗り越えるための方法、アイディアについてご紹介します。

 まず業界全体の話として、「検査による自己隔離の廃止」を旅行・観光産業が一丸となって強く訴えるべきでしょう。往来を再開するために「出発前または到着時の検査を必須化することで隔離を不要とする」ことは世界でも趨勢となっており、例えばハワイは日本からも観光客受入を再開しましたし、香港とシンガポールのトラベルバブルも正式に今月22日の開始が発表されています。

 現在、風の旅行社の原優二氏が発起人となって「ワンコインでいつでも検査」をめざすプロジェクトを立ち上げておられますが、規模も参画企業の業種業態もより大きく広範になる必要があります。例えばベルギーでは国中の関係組織や企業が共同で国に対して要請していました。

 むしろ、これは業界の再始動には他に選択肢のない話(特効薬とワクチンを待つ以外は)ですので、なぜ日本旅行業協会(JATA)などがここまで静かなのかが不思議です。GoToでの悪目立ちやオリンピックの開催をにらんだ思惑があるのかもしれませんが。というか、おそらく国はすでに多国間でのそうした流れのなかで検討や協議はし始めているのではないかと思います。

空からお遍路?-柔軟な発想の例

 続いて企業単位でできることとして、旅行会社の取り組みで最近読んでいて強烈だったのは、「カナダの旅行会社が同国大西洋側4州で形成されるトラベルバブルにキューバを加えようと計画している」という記事でした。どういうことかというと、陰性の旅行者のみがチャーター便で移動してキューバの特定リゾート内のみに滞在することで出発から帰国までのすべてを「バブル」に包含させようというアイディアです。

 つまり、県外への移動が禁止されていた頃の日本を例にとると、ある施設、例えばスパリゾートハワイアンズを貸切にして東京から陰性の旅行者だけをチャーターバスで連れて行くことで、バスの中もスパリゾートハワイアンズの中も都内ということにしてしまおう、という話です。

 どういう法的根拠でそんな話が検討できるのかよく分かりませんでしたが、その計画を発表してから48時間で約4000件の問い合わせがあったということで、消費者の旅行への渇望が感じられます。なかなか難しいでしょうけれども、日本でもグアムやサイパンで同様の仕組みができれば海外旅行好きの消費者は飛びつくはずです。普段だったらあまり興味のないデスティネーションでもその気になるかもしれません。

 また、顧客が行きたい旅行先に合わせて現地言語の会話レッスンや本、映画、音楽、レシピなどを提供したり、革製のパスポートをプレゼントしたりする旅行会社の取り組みは、地味でも顧客目線でロイヤルティが高まるサービスなのではないかと思います。

 さらに航空会社では、タイ国際航空(TG)による「3時間で99ヶ所の霊場の上空を飛行する巡礼ツアー」も目を引きました。四国の八十八ヶ所と置き換えて考えるとちょっと日本人の宗教観とは合わない気がしますが、発想に驚かされます。また、カンタス航空(QF)が退役するB747のミールカート1000個にワインやティムタム、パジャマなどをフル装備して発売したところ、数時間で完売したというニュースもありました。これは日本でも売れそうですよね。

  このほかトラベルビジョン現編集人氏による先週のコラムでは、お客様に対して旅行に限らず商品やサービスを死にものぐるいで一緒に売っていこうという提案がなされていましたが、これも発想を柔軟にすることを呼びかけるもので是非多くの依頼が集まるように願っています。

失業者のサポートも

 英国では業界のリーダーが発起人となって失業した業界関係者をサポートするボランティア団体が立ち上がり、LinkedInのプロフィールの書き方や面接のアドバイスなどのサービスを提供されているそうです。日本でもたくさんの業界関係者が職を失っているところですので、B2B企業などが音頭を取ってこうした取り組みをすれば、業界内の評価を向上するという目的においてコスパは高いのではないかと思います。

 短く書くつもりが、ご紹介したい話が無数にあり長くなってしまいました。私のメールマガジンではこうした最新の情報を毎日お届けしていますので、よければご登録ください。(松本)

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